この1週間、建築家の田根さんのインスタレーションと展示の両方を見てきました。インスタレーションは表参道のスパイラルホールで行われていて、展示は初台のオペラシティのギャラリー内です。
都合でスパイラルホールに先に行ってしまったのですが、可能であればオペラシティから見たほうが理解が深まる内容でした。
Archeology of the Futureでは建築家がどのように建築にアプローチしていくかを、知るというより共感できる内容でとても良かったです。熱量が伝わってくる展示で、最後の部屋を抜けて、1番手前の部屋を通り過ぎる時に導入部分をより深く理解できるという建築的な構成です。
建築は人の根元により深く関わる分野なので、私が関わる分野よりもより熱量を感じます。
久しぶりに見た展示がこのような力の伝わる内容でよかったです。足元にも及ばない弱小デザイナーですが、私も頑張ろ〜
デザインに関わらない方は「デザインとは閃きのように天から降ってくるもの」と思われる方も多いかと思います。ですが実際のところデザインとは果てしない対話であり、イメージとしては掘り起こすような作業です。Archeology of the Future=未来の考古学とはいい言葉だなぁ。
対話の相手はクライアントであったり、素材や物であったり、歴史や過去や未来などさまざまです。その対話の中から最適な形やプロセスを掘り起こすのです。仏師の方は仏像を作るのではなく在るべき形を掘り起こすと言われますが、デザインもそれに通づるところがあると思います。ですので掘り起こされる形に決まりはありませんが、その時の必然となるのです。
なので、良いデザインとは時にその存在にすら気付かないくらいしっくりと馴染んで差異を感じさせないものであったりもします。なにも未来的で見たこともないような新しさを感じさせるものだけが良いデザインではないと確信しています。
こんなことを言いつつ、毎回自分が在るべき形を掘り起こせているかについては甚だ疑問ではありますが、この気持ちは常に胸において仕事に望んでいます。今回の展示を見て、改めてそんなことを考えた次第でした。