本日は私の備忘録の日記です。
イラストはありません。
東日本大震災について触れますので
お読みになりたくない方はここでページをお閉じください。
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先日会社の研修で「復元納棺師」の
笹原 留似子(ささはら るいこ)さんのお話を聞く機会がありました。
ご存知の方もいるのかもしれませんが、
恥ずかしながら私はその場に行くまでお名前も職業も存じ上げず、
研修の一部に講演が入っているなぁ程度の認識でした。
しかし、お話を聞いているうちにどんどん引き込まれ、一言も聴き漏らしたくないと思うようになりました。
ご本人もとてもチャーミングで人をひきつけてやまない方です。
笹原さんは肩書きのとおり
ご遺体を生前の状態に復元して納棺する、納棺師です。
大切な妻や夫を、
大好きな親を、
愛してやまない子供を失われたご家族の希望により、
特殊な処置をすることでご遺体に生前の笑顔を取り戻し、きちんと向き合ってお別れをするお手伝いをされています。
岩手県にお住まいで、
先の震災の際にボランティアとして安置所で沢山の死と向き合われたそうです。
講演の中で一番ハッとさせられたのは
「震災の際、テレビで何千という死者の数を報道します。数は日に日に増えていきます。
1000の死者数というのは、1000人の命です。1人1人の大切な命が積み重なって数になります。1人の命には周りに沢山の大切に思う人がいる。その人たち思い出と悲しみが積みあがった数に私は呆然としました」
数字の恐怖に惑わされて、
大切な方を失った人の深い悲しみを漠然としか捉えられず考えが及んでいませんでした。
困難に立ち向かうこともなく、のらりくらりと人生を歩んできた
私なんかには計り知れないほどの心の強さと深さをお持ちです。
笹原さんは納棺師としてのお仕事と同時に、
大槌で子供のケアハウスを運営されています。
死を超えてもつながっている家族の記憶、思い出とどのように暮らしていくのか。
特に若い子供たちは悲しみを紛らわす術を多く持っていません。
「悲しみは減らないけど、悲しみと生きていく方法を一緒に考えよう」
「大人だって悲しかったり、絶望したりする。子供も言葉に出して良いんだよ」
「(被災地の幽霊話に触れたとき)心霊写真ってなんだろうね?君の隣に亡くなったお父さんが写ってたらその写真ってなに?-そう、家族写真だよね」
今回の講演で聞いて印象に残った言葉です。
二児の母でもいらっしゃるそうですが、
同じ女性としても、母としても、心の深さと強さに感銘を受け、
どのように心を保っていらっしゃるのか伺ってみたかったのですが、
質疑応答の時間には沢山の人が手を上げ、
私の質問よりも、若い人の質問を優先したかったので
時間オーバーで私の番は回ってきませんでした。
でも不思議と私は、笹原さんにまたお会いするだろうと確信しています。
「必ずまた会う」、そう人に思わせる、吸い寄せられるような方でした。
本を何冊かお出しになっているので、
ぜひお名前で検索してみてください。
涙で読み進めていくのが困難ですが、
なくなられた方そしてご家族の気持ちと、
それを受け止める笹原さんの心を知らないでいるのは、
申し訳ないとすら思ってしまいました。
いつかは向き合わなければならない「死」について、
私はいつも怖くなって思考停止してしまいますが、
お終いを迎えなければならないのが人の命なんですね…。
理不尽で暴力的にすら感じるような生死の線引きに、私が残される側であったとしたらーーー、残す側だとしたらーーー。
家族に、周りに生かされていること、
今日あるこの命に感謝して、精一杯生きて行きなければと改めて思い、
子供にもそれを伝えて行きたいと思いました。
このような講演を聞く機会を与えてくれた会社に、
入社できたことに改めて感謝します。
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